こんにちは、Unityエンジニアのオオバです。
Unityで開発を進めていくと複数のUnityプロジェクト間でアセットを共有したくなるときが出てきます。
例えばゲーム開発開始時点ではキャラやアニメーションデータ、背景素材が揃わず開発しづらい状況が続きます。そんな時に過去に作ったアセットを取り込んで代用することががあります。しかし過去プロジェクトを開くのも大変ですし、どこにあるのか探すのも大変です。
結局手動で対応するのですが、毎度別プロジェクトからエクスポートとインポートの作業は 非常に面倒臭い ですし、手作業なので ミスも発生 してしまいます。
実はこの悩みをUnity内のとあるサービスが解決してくれます。
それがUnity Cloudの 「Asset Manager」 です。
Asset ManagerはUnity Cloud上にアセットを保存し複数のUnityプロジェクトで共有することができるサービスです。 無料のPersonalライセンスから利用可能 なため誰でも使用可能。
そこで本記事はUnity CloudのAsset Managerの始め方から使い方、良いところ悪いところをまとめて解説していきます。
Unity Cloudに興味がある、Unityプロジェクト間のアセット共有に悩んでいる方はぜひ最後まで読んでみてください。
Asset ManagerはUnity2022LTS、Unity6以降がサポート対象 なので使用するUnityバージョンには注意しましょう。
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- そもそもUnity Cloudとは?
- 【Unity Cloud】Asset Managerの始め方
- Unity Cloudのセットアップ & Asset Managerの起動
- Asset Managerプロジェクトの作成
- Unity Cloudに接続済みのUnityプロジェクトを使う
- Asset Managerパッケージのインストール
- Asset Managerにアセットをアップロード
- Asset Managerのアセットを別プロジェクトで流用する方法
- 修正したアセットをAsset Managerに反映させる方法
- UnityプロジェクトをそのままAsset Managerプロジェクトにできる
- Asset Managerの改善点(2025年1月時点)
- Unity Cloud入門Asset Managerの使い方まとめ
そもそもUnity Cloudとは?
Unity CloudとはUnityを使ったゲーム開発をサポートするサービスをまとめた総称です。
普段Unityエディタを使ってゲーム開発をしていますが、Unity CloudはUnityエディタ外でサポートするサービスです。
例えば、今回のテーマである「Asset Manager」や「Unity Version Control」「Unity Build Automation」など40近いサービスがリリースされています。
これらをまとめたサービス群のことを「Unity Cloud」と呼びます。
Asset Managerを使うとどうなる?
今回取り上げる「Asset Manager」 を使うとどういうメリットがあるのでしょうか。
結論からいうと過去作成してきたアセットが 生きた資産 になります。
具体的にはゲーム開発に使用するアセットを効率的に管理、流用しやすくなるのです。
ところで過去の開発で作成したアセットが眠ったままになっていませんか?実は新規開発時にそのアセットを使えば、無駄なお金を使わず、開発を進められたかもしれません。
しかし、今までのUnityはプロジェクト間のアセット管理は想定されておらず、手作業でファイル移動をしていました。
そこで Asset Managerの登場 です。
複数のUnityプロジェクト間のアセットを簡単に共有でき、ダウンロードから更新、反映までをUnityエディタだけで完結できます。
つまりAsset Managerを導入することで過去の資産が生きてくるのです。
Asset Managerの全体像
Asset Managerは「プロジェクト」単位でアセットを管理します。ここでいう「プロジェクト」とはUnityプロジェクトのことではなく、Asset Manager専用のプロジェクトです。
↓↓Asset Managerを図解するとこんなイメージです。
Asset Manager プロジェクト毎にアセットを管理 できるため、例えば以下のような区分けでAsset Managerプロジェクトを作って管理することも可能です。
- 3D用プロジェクト
- 2D用プロジェクト
- UI用プロジェクト
- エフェクト用プロジェクト
もちろん1つのプロジェクトに何でもかんでも詰め込む運用も可能です。
※「プロジェクト」と記述するとUnityプロジェクトと勘違いするため、本記事では「Asset Managerプロジェクト」と記述していきます。
【Unity Cloud】Asset Managerの始め方
ここからはAsset Managerの具体的な使い方を解説していきます。
前半はUnity Cloudのセットアップ、Asset Managerにアセットのアップロードまでを紹介します。
後半はAsset Managerにアップロードされたアセットを別のプロジェクトで流用する手順の解説です。
また更新したアセットを各プロジェクトで反映する方法も紹介していきますのでお楽しみに。
ではまずUnity Cloudのセットアップから始めていきましょう。
Unity Cloudのセットアップ & Asset Managerの起動
最初にUnity Cloud上でAsset Managerを使えるように設定します。
まずは Unity Cloudにアクセスしてください。
「今すぐ始めよう」ボタンをクリックします。
Asset Managerを使うための準備として、Asset Managerの「起動ボタン」をクリックしましょう。
するとAsset Managerが使える状態になりました。
Asset Managerプロジェクトの作成
Asset Managerを使う上で最初にやるべきことは Asset Managerプロジェクトの作成 です。繰り返しになりますが、ここでいう「プロジェクト」とはUnityプロジェクトではなく Asset Manager用のプロジェクト です。
①プロジェクト管理を゙選択して、② Create projectボタン をクリックしましょう。
するとこのようなモーダルが表示されるので「Project name」にプロジェクト名を入力して Create projectボタン をクリックしてください。
すると空のAsset Managerプロジェクトが作成されます。
以上でUnity Cloud側の準備は完了です。ここからUnityエディタ側の作業に移ります。
Unity Cloudに接続済みのUnityプロジェクトを使う
Asset ManagerはUnity Cloud上のサービスなので、使用するUnityプロジェクトは Unity Cloudへの接続が必要 です。
新規でUnityプロジェクトを作成する際はUnity Hub上で 「Unity Cloudに接続」にチェック を入れてください。
既存プロジェクトの場合もUnity HubからUnity Cloudに接続します。
Unity Hub内のUnityプロジェクト右側にあるメニューボタンを押して、 Unity Cloudに接続 を選択してください。
①作成する組織を選んで、 ②接続ボタン を押しましょう。すると既存プロジェクトがUnity Cloudに接続されます。
Unity Cloudに接続されるとUnity Hub内の表示が「接続されていません」から 「接続済み」 に変更されます。
とりあえずUnity Cloudに接続されたUnityプロジェクトを使用するということを覚えておきましょう。
Asset Managerパッケージのインストール
Unity Cloud上のAsset Managerからアセットをダウンロード、またはアップロードするためにはAsset Managerパッケージをインストールします。
左のメニュー Unity Registory
から Asset Manager を選んで Installボタン をクリックしてださい。
以上でUnityエディタ側の準備は完了です。
Asset Managerにアセットをアップロード
今回はUnityちゃんをAsset Managerにアップロードしてみます。
unitychan.prefab(UnityちゃんモデルのPrefab)を選択して 右クリック -> Upload to Asset Manager
を実行します。
すると Asset Managerウィンドウ が開いてアップロードされるファイル一覧を確認できます。
Asset Managerのアップロードは 依存ファイル一式がアップロード対象 になります。
もしアップロード対象にしたくないファイルがある場合は、各ファイルの左上のチェックボックスを外すだけです。
Upload Assets ボタンをクリックするとアセットのアップロードが開始されます。
アップロードが完了したらUnity CloudのAsset Managerを開いてみましょう。
するとUnityエディタからアップロードされたUnityちゃんアセットがリストアップされました。作業自体はとても簡単なので、ぜひ試してみてください。
Asset Managerのアセットを別プロジェクトで流用する方法
無事にAsset Managerにアセットをアップロードできたら次は別のプロジェクトでの流用です。
再び新規でUnityプロジェクトを作成します。 Unity Cloudに接続 チェックボックスは必ずONにしておきましょう。
前回同様、事前準備としてPackage Managerから Asset Managerパッケージ をインストールしておきます。
以上で準備は完了です。
Asset Managerウィンドウからアセットをダウンロード
Unity Cloud上のAsset Managerからアセットをダウンロードするために Asset Managerウィンドウ を使用します。
メニュー -> Window -> Asset Manager
からAsset Managerウィンドウを開きます。
①Asset Managerウィンドウのの左メニューから、アセットをアップロードした Asset Managerプロジェクト を選択します。
②上部メニューを「Assets」に切り替えます。すると①で指定したAsset Managerプロジェクトにアップロードされたアセットがリストアップします。
③ダウンロードしたいアセットを選択しましょう。今回はUnityちゃんのprefabをダウンロードしたいので、unitychan.prefabを選択しました。
Importボタン をクリックしてください。するとダウンロードが開始します。
ダウンロードが完了するとProjectウィンドウ内にUnityChanフォルダが作成されました。
作成されるフォルダ構成はアップロード時のフォルダ構成が引き継がれます。
では、ダウンロードしたUnityちゃんをSceneビューで表示させてみます。
このようにピンク色になりました。
原因はUnityちゃんに必要な パッケージがインストールされていないから です。
Asset Managerはあくまで アセットの管理 を担当。必要なパッケージまでは管理してくれません。
Unityちゃんのピンク色については、Package Managerから com.unity.toonshader
パッケージをインストールしてみてください。
するとUnityちゃんの表示崩れが修正されます。
ピンク色になったUnityちゃんの直し方やインストール方法は↓こちらの記事を参考にしてみてください。
以上でUnity Cloud上のアセットを別プロジェクトで流用することが出来ました。これで毎度ダウンロードサイトからアセットをダウンロードする必要がなくなるでしょう。
修正したアセットをAsset Managerに反映させる方法
次は修正したアセットを各プロジェクトで共有、反映する方法を紹介します。
アセットは開発の進行とともに修正され、更新、ブラッシュアップされていきます。更新したアセットをUnityプロジェクト間で共有する場合どうすればよいでしょうか。
そこで本章では更新したアセットの反映方法について紹介していきます。
アセットの修正内容としてUnityちゃんの色を少し変えてみました。この状態のUnityちゃんを他プロジェクトに反映していきます。

【初心者向け】Unityのオブジェクトの色を変える方法(マテリアルを使用)
Unityの中に配置したオブジェクトの色を変える方法をまとめました。材質データマテリアルの使い方も学びます。
修正したアセットをAsset Managerにアップロード
修正したアセットをUnity Cloud上のAsset Managerにアップロードしていきます。
初めてUnityちゃんをアップロードした手順と同じ、Unityちゃんprefabを選択して 右クリック -> Upload to Asset Manager
を実行してください。
するとAsset Managerウィンドウが自動的に開きます。
上図のように差分ファイルには矢印がつきます。変化がないものは緑色のチェックマークです。
Upload Assets ボタンをクリックして更新したアセットをAsset Managerにアップロードします。
無事にアップロードが完了すると、修正したファイルはUnity Cloud上のAsset Managerで Historyが追加 されます。
初めてアップロードされた状態が「Ver.1」。修正すると「Ver.2」。このように更新するたびにバージョンが1ずつ上がる仕様です。
修正アセットを別プロジェクトに反映
ここからは修正したアセットを別のUnityプロジェクトに反映させていきます。
修正アセットを反映したいUnityプロジェクトで Asset Managerウィンドウ を開いてください。
Asset Managerウィンドウを開いたら、①上部タブ「In Project」を選択、②修正したアセットのサムネール右下に黄色の矢印がつきます。
③修正されたアセットを選択すると、右側メニューにHistoryと、そのアセットが現在使用しているバージョンがわかります。
「Latest」 が最新バージョンで 「Imported」 がUnityプロジェクト内で使用しているバージョンという意味です。つまりこのUnityプロジェクトでは「Ver.1」を使用しているということがわかります。
今回はアセットを最新化したいので、④ Update All To Latestボタン をクリックしてください。
すると Reimportウィンドウ が表示され各アセットの更新確認画面が表示されます。 Importボタン をクリックするとアセットのインポート処理が実行されます。
インポートが完了すると、別プロジェクトで修正後の色を変更したUnityちゃんが表示されました。このようにAsset Managerを使うと複数のUnityプロジェクトでアセットの共有がとても簡単に実現できます。よく使うアセットの更新 & ブラッシュアップをして複数プロジェクトで同時運用がスムーズになりそうですね。
Asset Managerの基本的な使い方の解説は以上です。
UnityプロジェクトをそのままAsset Managerプロジェクトにできる
今回はサンプルとして新規でAsset Managerを作成しましたが、UnityプロジェクトをそのままAsset Managerプロジェクトにすることも可能です。
Addボタン -> New project
をクリックします。
すると新規プロジェクト作成モーダルが表示されるので 「Enable projectタブ」 を選びます。
Select projectプルダウンからUnity Cloudに接続済みのUnityプロジェクトがリストアップするので、Asset ManagerプロジェクトにしたいUnityプロジェクトを選択してください。
このようにUnityプロジェクトをそのままAsset Managerプロジェクトにできるということも覚えておきましょう。
Asset Managerの改善点(2025年1月時点)
ここまでAsset Managerの良いことばかり書いてきましたが、実際使ってみて微妙な点もいくつかあったため共有します。
- アップロード、ダウンロードに時間がかかる
- アップロード時にファイルのフィルタリングしたい
- Asset Managerにリストビューがほしい
アップロード、ダウンロードに時間がかかる
Asset Managerを使ってて一番のネックは通信時の待機時間が長いことです。今までGitHubやSVNを使ってアセットを管理してきましたが、Asset Managerは遅いです。
大容量のファイルを扱うプロジェクトで更新頻度の高い時期にボトルネックになりそうです。
ファイルのフィルタリングしたい
アセットのアップロード時にどのファイルがアップロード対象なのか分かりづらいです。アップロードするファイルだけを表示するフィルタリング機能がほしいですね。
ファイル数の多いプロジェクトで使う時にファイル管理に時間がかかりそうです。
リストビューがほしい
Asset Managerはサムネールビューのみ対応しています。見やすくてよいのですが、ファイル数が多くなってくると一覧性に欠けてきます。
Asset Managerの使用用途はUnityプロジェクト間のファイル共有です。どうしてもファイル数が増えてしまいます。ファイル数が増えた時にみやすいUIになっていると嬉しいですね。
追加開発、改善応援しています。
Unity Cloud入門Asset Managerの使い方まとめ
今回はUnity Cloudの1つ「Asset Manager」について紹介してきました。簡単にまとめるとこんな感じです。
①複数のUnityプロジェクト間でアセットの共有サポート
②Unity Cloudに接続したUnityプロジェクトが対象
③Asset Managerはプロジェクト単位でアセットを管理
④Unityエディタだけで完結
今までUnityプロジェクト同士でアセットを管理する仕組みはありませんでした。Asset Managerを使うことで過去作成したアセットを流用し活用しやすくなります。
本記事では複数のUnityプロジェクトを使ってアセットの追加、更新、反映方法について紹介してきました。
無料のPersonalライセンスでも利用可能なので、ぜひ本記事を参考にみなさんもAsset Managerを使ってみて貰えればと思います。

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最後まで読んでいただきありがとうございました!
すばらしいAssest Managerライフをお過ごしください。
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