こんにちは、Unityエンジニアのオオバです。
2022年4月13日に、待望の Unity2021LTS がリリースされました。LTSとは2年サポートの安定版です。つまり、安定したため 業務にUnity2021を導入しやすくなった ということです。
ちなみに、Unityt2021.2では 3000以上の修正 と 720の新機能と変更 が盛り込まれています。
すごい量ですよね。
ついに登場したUnity2021LTS。本記事ではUnity開発効率を爆上げする大きい新機能を4つ紹介します。
ぶっちゃけ知らないとかなり時間を無駄にする新機能もある ため、ぜひ最後まで読んでみてください。
UnityのLTSについてはこちらの記事で詳しく解説しています。あわせてどうぞ。
Unity2020と比べてUnity2021は開発効率爆上がり
今回紹介する4つの新機能はこちらです。簡単にまとめます。
①スケール比率固定機能
②Quick Searchの進化で超速検索
③Asset Import Overridesでテクスチャインポートの待ち時間が激減
④UnityエディタがAppleシリコン対応
どの機能もとても魅力的です。特に 「③Asset Import Overrides」 がアツいです。Unityの起動を爆速化 させます。テクスチャインポートの待ち時間にどれだけ人生の貴重な時間を奪われたか。確実に言えることは、 Unity2021はUnity2020の頃より開発効率は上がる ということです。Unityを長年使ってきた人は ワクワク するはず。
そして最後に Unity2021から追加されたレガシー(将来的に削除される機能) について触れて締めたいと思います。ぜひ最後まで読んでみてください。
ちなみにUnity2021からSceneビューのUIが大きく変化しました。
こちらもあわせてチェックしてみてください。
では、おすすめの新機能を1つずつ詳細に解説していきます。
👉DOTweenの教科書を読んでUnityアニメーションをプログラミングしてみよう!
新機能① 【待望】スケールの比率固定機能
Transformインスペクタのスケールがついに進化しました。 比率固定のスケール変更 が可能になりました。
今までScaleの各軸(X, Y, Z)はそれぞれ独立していました。
👆TransformのScaleに新アイコンが追加されました。
比率固定ON | 比率固定OFF |
---|---|
Scaleのアイコンをクリックすると有効化してみます。
ご覧の通り、X軸のスケールしか動かしていないのに Y、Z軸も同様にスケール値が変化するのです。
全Unityエンジニアが待ち望んでいた機能ではと思うくらいありがたい機能。スケールは基本的に比率固定しか使わないですよね。
比率固定なため↑のようなスケール値の変更も可能です。
RectTransformのスケールも対応済み
当然といえば当然ですが、TransformのサブクラスRectTransformも比率固定スケールは実装済みです。
UI実装でスケールを編集することはあまりありませんが、ありがたい改修です。
スケール比率固定をデフォルトONにする方法
スケール比率固定機能はデフォルトOFF ですが変更可能です。 Create Objects with Constrained Proportions にチェックを入れます。
Create Objects with Constrained Proportions は、 メニューUnity > Preferences > Scene View
から選択できます。デフォルトOFFになっていますので、Unity2021にしたタイミングで設定を見直すことをおすすめします。
新機能② Quick Search(⌘ + K)の進化
Quick Searchがとても便利になりました。Macの場合ショートカット : ⌘ + K
- ヒエラルキー
- プロジェクト
- Package
などなど。
いろんな場所を検索してくれます。おそらくヒエラルキーとプロジェクトでの検索で役に立ちそうですね。
ヒットした項目の挙動変更化
検索ヒットした項目をダブルクリックしたときの挙動をPreferenceから変更することも可能。
たとえば、↑の例ではSelectにしていますが、 Open
にしていると、ファイルオープンしてくれます。かゆいところまで手が届きます的な姿勢が素晴らしいですね。
新機能③ 【超重要】 テクスチャの待ち時間がなくなる
Unity2021から Assets Import Overrides という機能が追加されます。テクスチャのインポートを ユーザーごとに上書き する機能。この機能が最もオオバ的に熱い!!
結論、 テクスチャのインポート時間がなくなります。 どういう仕組みなのか解説します。
非圧縮でインポート可能
Assets Import Overridesを使うとテクスチャを非圧縮でインポート できます。何が良いのかというと、 テクスチャインポート時間がなくなる のです。
Unityの待ち時間の大半はテクスチャの圧縮時間 です。
よくUnityを起動するまでに時間がかかるときがありますよね。あの時間の大半はテクスチャのインポート時間です。テクスチャの圧縮時間は長いということです。
この圧縮時間がなくなるため爆速でインポートは完了します。つまりUnity2021からは待ち時間を激減させ、すぐに作業が開始できるということです。
Assets Imports OverridesはBuild Settingsから設定する
Assets Imports Overridesの使い方は簡単です。 Build Settingsから設定 します。
デフォルトは No Overrideで動作しません。
Texture Compression を 「Force Uncompressed」 に設定します。
すると画像は非圧縮インポートになるため待機時間はかなり短くなるでしょう。
実際にどのくらい待機時間が短くなるのか気になりますよね。検証してみました。
3GBの大容量アセットを使ったインポート時間計測結果 を共有します。どのくらい時間がかかったのか、興味ある方はぜひ読んでみてください。
テクスチャのクオリティは実機で確認
通常テクスチャの圧縮とクオリティの確認は基本的に実機でおこないます。 Unityエディタで確認してもあまり意味はありません。 対象となるスマホなどの実機でクオリティが担保できていれば、Unityエディタ(パソコン)で汚くても問題ないのです。
つまり Unityエディタ上では基本的に非圧縮テクスチャで問題ない のです。
職種問わずUnityエディタ上では非圧縮インポートが主流になるのではないかと思います。Unity2021からはチームメンバー全員がテクスチャの待ち時間に悩まされることは少なくなるでしょう。これによりチーム全体の作業効率は大きく上がりそうです。 実機ビルド時に圧縮設定を戻すのを忘れずに!
Unity2021にアップデートする方法がわからない方は、こちらの記事で詳しく解説しています。
Unity2021からはテクスチャインポート自体が高速化している
Unity2021では「Assets Imports Overrides」という強力な新機能を実装しながらも、 テクスチャインポート自体も早くなっています。
圧縮テクスチャ | 高速化 |
---|---|
ETCへの変換 | 2.7倍高速化 |
ASTCへの変換 | 2.6倍高速化 |
※Androidプラットフォームでの数値
📚 参考サイト : Unity - 2021 texture import optimizations - Unity Forum
以上の結果のとおり、Unity2021からテクスチャインポーターの改善がされているのです。
結局「Assets Imports Overrides」はUnityエディタ上での改善であって、 実機ビルドする際には設定を元に戻す必要があります。 テクスチャインポートが早くなればなるほど実機ビルドの時間は早くなるため、ありがたい改善ですね。
新機能④Appleシリコン対応エディタ登場
Macユーザー限定の話ですが、M1Macに対応したUnityエディタが登場しました。
上図のとおりUnity HubからAppleシリコン版をインストール可能です。M1Macユーザーにとっては朗報ですね。M1のパフォーマンスを発揮してくれることを期待しています。
TextMesh、UI標準テキストが将来削除対象へ
長年使われてきたTextMeshとUnity UIのTextはレガシー枠へ移動しました。その代わりに 「TextMeshPro」の使用が推奨 されています。つまり 「TextMesh」と「Text」は将来的にUnityエディターから削除される機能として位置づけられた のです。その証拠にどちらの生成メニューにも「Legacy」配下に移動しています。
将来的に削除されるということは、今開発、運用しているゲームでTextMeshとTextを使っていたら、 将来的にTextMeshProに置き換える必要(リスク)がある ということです。今後、Unityから置き換えツールなどが提供されるかは不明ですが、現時点でこれらの機能を使っていると危険であるということを覚えておきましょう。
厳選Unity2021新機能まとめ
厳選した4つの新機能と将来削除される機能について紹介しました。新機能に関しては初心者から上級者の方まで使える機能だったのではないでしょうか。
- スケールの比率固定機能
- 進化したQuick Search
- テクスチャの待ち時間が激減
- M1Macに対応したUnityエディタの登場
- TextMeshとTextは将来削除
特に 「テクスチャの待ち時間が激減」 は開発環境に大きなインパクトを与えるでしょう。Unity2021もLTSが登場し、本番プロダクトにも使われる機会も増えていくと思います。ぜひ事前にUnity2021の使い勝手を確認してみてください。今回紹介した4つ以外にも大量の新機能が盛り込まれています。おもしろい機能があったら教えてください。
そして、忘れてはいけないのが将来削除される機能の追加です。今回はTextMeshとTextを紹介しました。特にTextは多くのゲームで採用されているのではないでしょうか。すぐに機能として消えることはないと思いますが、将来的にTextMeshProに置き換えることを視野に入れておいたほうが安全です。
実は今回のTextMeshとTextのレガシー化はUnity2021.2を検証中に発見しました。びっくりして次のようなツイートをしました。
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