こんにちは、Unityエンジニアのオオバです。
UnityはスマホやPC、Web、xRといった様々なプラットフォームにアプリを書き出すことが可能です。
オオバもUnityで長年スマホゲームを作ってきました。 1つのソースコードでiOS、Androidゲームを同時に開発できる のは Unityを使う大きなメリット です。
そこで今回は スマホ向けゲーム開発の始め方について紹介 していきます。スマホ向けのUnityゲームはPCやWebとはまた経路の違うデバイス特有の独特のルールや手順があります。
すべてを詰め込むと1記事では溢れてしまうため、 本記事ではスマホ向けUnityゲーム開発を始める第一歩 を詳しく解説していきます。最後まで読んでもらえば、とりあえず ゲーム開発を始められる状態になっている でしょう。
また記事後半では スマホ実機にUnityからアプリを書き出す方法 も紹介しているので楽しみにしててください。
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スマホ向けUnityゲーム開発を始める2つの手順
本記事ではすでに Unityエディタがあなたのパソコンにインストールされた状態 を前提に解説していきます。
まだUnityエディタをインストールしていないという方は↓こちらの記事を参考にUnityの環境構築を整えてみてください。
スマホ向けUnityゲーム開発を始めるまでには2つの手順が必要です。
手順①Build Supportモジュールのインストール
手順②Switch Platformでプラットフォーム切り替え
手順①Build Supportモジュールのインストール
スマホ向けのUnityゲーム開発を始めるためには スマホ開発用のUnityプロジェクトにする 必要があります。 デフォルト状態ではPC向け設定になっている ためスマホ向けに設定を変更する必要があるのです。
Unityで各プラットフォーム向けにゲームを開発するためには Build Supportモジュール をインストールする必要があります。
iOSなら 「iOS Build Supportモジュール」 、Androidなら 「Android Build Supportモジュール」 です。
- 新規でUnityプロジェクトを作る場合
- 既存プロジェクトをスマホ向けに切り替える場合
どちらの場合でも必要な作業になるため覚えておいてください。
これらのモジュールはUnity Hubから 無料 でインストールできます。
↓↓こちらの記事ではUnity Hubを使ったモジュール追加方法を詳しく解説しています。まだ iOS Build Supportモジュール と Android Build Supportモジュール をインストールしていない方はぜひ参考にしてみてください。

【Unity】モジュールの追加方法
Unityの中にはモジュール単位で分けられた機能があります。iOS向け、Android向けゲームを作りたい場合はビルドサポートモジュールが必要です。本記事では初...
手順②Switch Platformでプラットフォーム切り替え
Unity HubでBuild Supportモジュールをインストールしたら Unityエディタ側でプロジェクト自体の設定をスマホ向けに変更 します。
Unityエディタを開いたら メニューFile > Build Profiles(旧Build Settings)
から Build Profilesウィンドウ を開いてください。
Build Profiles ウィンドウにはアプリの書き出しに関する設定が集約しています。ここで各プラットフォーム向けの設定を「Switch Platform」で切り替えます。
今回はサンプルとして Android向け のUnityプロジェクトとして設定しています。
左のメニューから Android
を選択して、Switch Platform ボタンをクリックしましょう。するとプラットフォームの切り替え作業が始まり、しばらくUnityエディタが操作できなくなります。
Unityプロジェクト内のファイルが多ければ多いほどSwitch Platformの時間は伸びてしまうので注意してください。
つまり Switch Platformは開発序盤に終わらせておいた方がよい ということです。
もし、Switch Platformの待機時間が長すぎて耐えられない方は、こちらの記事を読んでみてください。Switch Platformの時短テクニックを紹介しています。
話を戻します。Switch Platformが終了すると↓↓このように現在の開発プラットフォームに Active
マークが表示されます。これが目印です。
以上でスマホ向けのUnityゲーム開発の準備は完了です。
重要なのは「モジュールのインストール」と「Switch Platform」の2点です。最後にスマホ実機でテストするまでの手順を解説します。
まれにファイルの損傷で Switch Platformが終了しない場合 があります。特に既存プロジェクトで大量のファイルを有している場合です。そんなときは慌てずに次の記事を読んでみてください。1つ1つ原因を切り分けて解決する手順を紹介しています。

Importing small AssetsでUnityが起動しない時に試す6つの方法
Importing small AssetsでUnityが起動しないときの6つの方法を紹介します。
スマホ実機テストの準備
スマホ実機でテストするためには 「ビルド」 という作業を行います。ビルドとはスマホに転送する データ作成 のことです。
iOS、Android両方テストしたい場合は、Switch Platformしてそれぞれ別々にビルドします。
ビルドする前の準備として、 ゲームに含めるシーンを選択 します。Unityはシーンという概念があり ゲームに含めるデータはシーン単位で行います。
今回はサンプルとして「Tunnel Fx2」というアセットを使ってDEMOします。
ゲームに含めたいシーンの追加
前述の通りUnityは 「シーン」 という単位でコンテンツをゲームに含めます。そこでゲームに含めるシーンを指定していきましょう。
今回ゲームに含めたいTunnel Fx2ののシーンを開きます。
シーンを開いたら、再び Build Profiles ウィンドウを開きましょう。開き方は メニューFile > Build Profiles
でしたね。
Build Profiles内の左メニューから ①Scene List を選択してください。 ②Add Open Scenes をクリックしましょう。すると③シーンが追加されます。
この Scene Listに追加されたシーンがゲームに含まれる ということです。
Build Profilesの設定
ビルドする上で色々設定する必要があるのですが、最低限アプリが動作する設定をしていきます。
メニューEdit -> Ptoject Settings
から Project Settings を開きます。
Project Settingsの ①Player から ②Product Name を設定します。ここに設定した文字列がインストール後のアプリアイコン下の名前になります。 ③Default Icon は実機上で表示されるアイコン画像です。未設定でも問題ありません。Unityアイコンが表示されます。
④Other Settings をクリックして続きの設定をしていきます。
①Override Default Package Name にチェックを入れて、「Package Name」にアプリの識別子となるパッケージ名を入力します。 ②Scripting Backend を「IL2CPP」へ。 ③ARM64 にチェックを入れます。
②、③についてはAndroid限定の設定項目です。
以上でビルド前の準備は完了です。この後はiOS、Android向けにビルドを行ってスマホ実機で確認していくことになります。
Androidの場合はUnityエディタだけで完結
Androidの場合は、UnityエディタとAndroid端末だけで実機確認が可能です。
具体的にはパソコンとAndroid実機をUSBケーブルで繋いでBuid Profilesの「Build And Run」ボタンを押すだけでビルドされたファイル(APK)が転送されます。自動でインストールが完了しゲームがAndroid実機で動作を始めるのです。
自動インストールの場合、Android端末の開発者オプションを有効化する必要があるため注意してください。
詳しくはこちらの記事で解説しているので、参考にしてもらえればと思います。
iOS実機でテストする場合はMacとXcodeが必要
iOS実機でテストする場合は MacとXcodeが必要 です。具体的にはUnityエディタ上でビルドするとXcodeプロジェクトが書き出されます。そのプロジェクトをXcodeを開き、XcodeからiOS実機にアプリを転送するという流れです。
Xcodeのインストールはこちらの記事をどうぞ。
またmacOS、iOS、Xcodeそれぞれのバージョンがうまく噛み合わないとビルドに失敗するのでiOS実機ビルドは結構大変です。
こちらの記事でUnityエディタ→Xcode→iOS実機とテストする方法と手順を詳しく解説しているので、iOS向けゲームを作っている方はぜひ参考にしてみてください。
ちなみにWindowsではiOS実機テストができません。
Androidでテストするのが楽
個人的にはiOSよりAndroidの方が実機テストは楽な印象です。なぜならパソコンとAndroid実機をUSBケーブルで繋いで、Unityエディタから直接アプリを転送できるからです。
またパソコンとAndroidのOSバージョンによるトラブルも特にハマった記憶がないためです。
日々の実機確認はAndroidで、要所要所でiOS実機で確認するといったフローが開発効率面では良いのかなと思っています。
スマホ向けUnityプロジェクトの作り方まとめ
本記事ではスマホ向けUnityプロジェクト作り方、設定について解説しました。記事の内容を簡単にまとめます。
①Build Supportモジュールのインストール
②Build Settingsを開いてSwitch Platform
③ゲームに含めるシーンを追加
こんな感じです。以上の手順でスマホ向けゲーム開発を始められます。
スマホゲームは、
- マウスオーバーがない
- 複数同時タップ処理
- セーフエリア
といったPCにはない落とし穴が存在します。最初は違いにとまどうかもしれません。
今回紹介したものは、あくまでスマホゲーム開発のための準備です。スマホゲーム開発に必要な実際のテクニックは別途必要 になります。
スマホゲームUIの開発テクニックをこちらの記事で解説していますので、ぜひ読んでみてください。
この他にも本ブログやオオバのXではUnity製スマホゲーム開発のテクニックを数多く紹介していますので、ぜひどちらもチェックしてみてください。
Xでは↑このように図解を使ったワンスライド解説もしていますので、ぜひフォローもよろしくお願いいたします。

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